さまよう刃
☆☆
初公開年月 2009年10月10日
鑑賞メディア;DVD
初公開年月 2009年10月10日
鑑賞メディア;DVD
監督:益子昌一2点
原作:東野圭吾『さまよう刃』3点
脚本:益子昌一2点
美術:福澤裕二2点
撮影監督:ワン・ミン1点
衣裳:平尾俊2点
編集:三條知生2点
音楽:川井憲次2点
音響効果:西村洋一2点
照明:三善章誉2点
出演:寺尾聰(長峰重樹)2点、竹野内豊(織部孝史)2点、伊東四朗(真野信一)2点、長谷川初範(島田)2点、岡田亮輔(菅野カイジ)1点、黒田耕平(伴崎アツヤ)1点、佐藤貴広(中井誠)3点、酒井美紀(木島和佳子) 2点、山谷初男(木島隆明)2点
原作:東野圭吾『さまよう刃』3点
脚本:益子昌一2点
美術:福澤裕二2点
撮影監督:ワン・ミン1点
衣裳:平尾俊2点
編集:三條知生2点
音楽:川井憲次2点
音響効果:西村洋一2点
照明:三善章誉2点
ちょうどピエール・モレル監督リーアム・ニーソン主演のアクションドラマ「96時間」と前後してこの作品を見た。
娘の拉致と監禁。レイプとドラッグ。法で裁かれない悪。それに対して怒りと復讐の父親。といったそっくりな状況を描きながらこのテイストの違いに愕然とした。
「96時間」が圧倒的に面白いのである。まず、冒頭5分で出てくる人物の状況と人間関係を的確にその性格まで説明してしまう手際のよさに舌を巻く。これぞ映画の脚本といえるものである。何故、日本人の監督にこれが出来ないのか。基本だろうこれが。
この東野圭吾の少々しつこい原作を情緒だけで描こうとする方向が間違っているとしかいえない。
映画は論理である。何故この画面が必要なのか。このシーンは何を意味するのかを言葉でなく一瞬で分からせる技術の塊が映画なのだ。
例えば、父親が犯人の家に忍び込んで娘のレイプビデオを発見して見てしまうシーンはワンカットである。これは、私が原作を読んだときからイメージしたシーンと同じだった。私のような素人と同じでは既に駄目なのである。
長野から川崎にシーンが変わるとき林を下から撮って雪が落ちてくるものだった。美しいと言う以外に何の意味があるのか?ラストへなだれ込む緊張感あるシーンの前にふさわしいのか?
また、最後主人公の寺尾聰が死んだ後しつこくスローモーションで撮っているのは何のためか?
法の不備の中で苦しむ人を描きたいならドキュメンタリーでも撮るほうが良い。この作品は、復讐に燃える一般市民の逃亡とその成否を追いかけるサスペンスドラマにならなければならない。
悪者側の若者に何の迫力も無いだけでなく事件を追う刑事や被害者で加害者の父親にも血走った狂気が感じられない。演出が甘いのだ。こんな悟った顔をしたおっさんが猟銃で人を撃てるわけが無い。
「96時間」はやりすぎてその分フィクションの度合いが大きいが、シリアスな問題を93分でエンターテインメントとしてまとめている。益子監督はリュック・ベッソンを馬鹿にしないでちゃんと勉強して欲しい。