ヘブンズ・ドア

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☆☆☆
初公開年月 2009年2月7日
鑑賞メディア;CS

監督:マイケル・アリアス3点
プロデューサー:宇田充、関口大輔、原藤一輝2点
エグゼクティブプロデューサー:豊島雅郎、亀山千広藤島ジュリーK.1点
脚本:大森美香2点
オリジナル脚本:トーマス・ヤーン、ティル・シュヴァイガー4点
撮影:小松高志4点
美術:岩城南海子3点
編集:武宮むつみ3点
主題歌:アンジェラ・アキ『KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR』2点
VFX:大萩真司2点
スーパーバイザー:小川真司、石原隆、長松谷太郎1点

出演:長瀬智也(青山勝人)3点、福田麻由子(白石春海)3点、長塚圭史(小久保)1点、大倉孝二(安達)3点、和田聰宏(御子柴)2点、三浦友和(長谷川)2点 

 この映画は1997年のドイツ映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」(以下①)のリメイクである。リメイク物はその元ネタと比較されることを覚悟して作る。したがって今回もこの「ヘブンズ・ドア」(以下②)を①との比較で批評してみたい。

 まず、①の持っている独特のオフビートなギャグの数々が②ではシリアスドラマに近くなってしまっている。主人公二人を男二人から男女にしたために関係が微妙になってしまい、四六時中行動を供にするのは不自然さがある。
 しかし、人質をとって逃げるという点においては②に説得力がある。
 逃げるときに警官から制服を奪ったあとのオチ(裸にされた男女の警官が絡んでいるシーン)のある①は笑える。

 ①のとぼけたチンピラギャング二人組の面白味は全く失われ、②では大倉孝二だけが、コメディリリーフとしてがんばっているが、現代的な白けた若者像を描いているだけになってしまって、ギャグはすべりまくる。

 特に①の売春宿を経営する分かりやすいやくざのボスに対して、②の長塚圭史の分かりにくいボスはドラマの流れを止めてしまう。つまり、やくざなのかITで成功したカリスマなのか、似非宗教家なのかはっきりしない。政治がらみの汚職が裏にありそうなのだがその部分は結局未解決。
 私はよく邦画に狂気の悪人として出てくる長塚圭史をうまい役者だと思ったことは無い。顔も表情も薄く、体もきゃしゃで印象がうすいからか、すぐにキレる演技にはいってしまう安直さが駄目だ。

 車は圧倒的に②がいい。

 病院の描写はどちらもうそ臭い。煙草のくだりは②が生きている。

 ①のトルコ料理店と②のメキシコ料理店は②のほうがとぼけた味わいがある。ただ、ドイツにおけるマイノリティとしてのトルコ人を描いている①に対して②にはそのような配慮は感じられない。だから、犯人を逃がす手伝いをする説得力に欠ける。

 組織に命をねらわれるところは、警察とやくざと主人公二人の三つ巴のコメディアクションになる①が圧倒的に面白い。特にとうもろこし畑を俯瞰で撮っているシーンは秀逸。映画的記憶に満ちた(つまり洋画に良くある)感動的なシーン。

 母親にピンクのキャデラックをプレゼントする①に対して②では結局何もしない。これは、②のほうがシリアスドラマとしていいと思う。

 中年の上司と部下の刑事コンビはやはり①がいい。②の三浦友和は何もしなさすぎ。もう少し切れ者のほうが面白かった。
 
 ①でも②でもストックホルム症候群ヘルシンキ症候群としていた。ギャグなのか何か意図があるのか分からなかった。

 ②の長瀬智也は、地でいっているような演技でそれなりに評価できる。

 ①での大ボス、ルトガー・ハウアーが何故二人を逃がしたか、何故詩人なのか最後になって説得力が無い。②の部下の裏切りのほうがまだ、説得力がある

 ラストシーンでのボブ・ディランの有名な「天国の扉」は、圧倒的に①がいい。②のアンジェラ・アキのような変な解釈無しに原曲に近い形で歌うほうがいいに決まっている。

 ということで、ちゃんとコメディとしてリメイクするべきでは無かったのか。死を前提に無茶をする二人組みという刹那的な設定ならばもっと冒険できたはずだ。