奇談 キダン
初公開年月 2005年11月19日
鑑賞メディア:DVD
鑑賞メディア:DVD
諸星大二郎大先生の傑作シリーズ「稗田礼二郎」を主人公にした怪異談の映画化。
原作自体が非常に面白いのだが、それを映像化するのは極めて困難だと思っていた。それは、諸星先生の描画によるところが大きい。デッサンが少しずれたような、ヘタウマな感じを出すのが実写では難しいからだ。しかし、諸星ワールドを表現するにはこの土俗的な、見ようによっては子どもの落書きを怪獣にしたような雰囲気が大事なのである。
原作自体が非常に面白いのだが、それを映像化するのは極めて困難だと思っていた。それは、諸星先生の描画によるところが大きい。デッサンが少しずれたような、ヘタウマな感じを出すのが実写では難しいからだ。しかし、諸星ワールドを表現するにはこの土俗的な、見ようによっては子どもの落書きを怪獣にしたような雰囲気が大事なのである。
諸星の世界観は、一般的な近代社会の規範からは完全にずれているし、それだからこそ宗教的な心象を描けるのである。以前映画化された塚本晋也監督の「ヒルコ妖怪ハンター」(1991年)もこの世界観を結構表現できていたが、今回はスプラッターよりも人間心理の暗黒面と恐怖を表現しようとしていた。
TV出身の監督のようで、その表現がTVのアングルに収まる感じである。しかし、その迫力の無さがかえって諸星ワールドの暗くてヘボなムードにぴったり。
しかし、ラストの「ぱらいそさゆくだ」という、知る人ぞ知る有名な光のシーンは大げさにしなければならない。そこには、何の説明もいらない。何故現代日本の片田舎にキリストが?などという疑問を完全に吹き飛ばす不条理なカタルシスがなくてはならない。
映画では、そのテーマが分かっているのだろう。一生懸命画面を作っている努力が出ていた。その分では十分合格点。
映画では、そのテーマが分かっているのだろう。一生懸命画面を作っている努力が出ていた。その分では十分合格点。
阿部ちゃんも薄幸の少女を演じる藤澤もまぁまぁ良かった。