ゆれる

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初公開年月 2006年7月8日
鑑賞メディア:DVD
監督:西川美和 4点
脚本:西川美和 3点
撮影:高瀬比呂志 3点
編集:宮島竜治 3点
音楽:カリフラワーズ 4点  
印象に残る出演者:オダギリジョー 4点、香川照之 4点、 真木よう子 2点

 西川美和(今年34)という若い女流監督の2006年の作品「ゆれる」を観た。

 以前から観たいと思っていた作品だったが、うわさに違わず優れた作品だった。

 オダギリジョー香川照之の演ずる兄弟の間の愛憎を殺人事件を絡めて細かく描く。

 若い監督なのだが、その演出は的確で、例えば青いライトと赤いライトの使い分け、最初の方でオダギリ演じる弟の奔放さと傲慢な様子を冷蔵庫も閉めないとか、燃費が悪いカッコだけのアメ車に乗っている様子で表現するとか、香川演じる兄が親子喧嘩の仲裁に入り、畳を拭いているとき、徳利からこぼれた酒がズボンに滴となってつくシーンなど。

 映画的に説明できる論理的なシーンが多くあり、また日本人にしか分かりにくい日本人女性の感性を乾いた感じでうまく描いているように思う。

 また、男兄弟の確執を父親世代と若い世代の二世代で描く構造にもなっている。

 木村祐一演じる検察官が関東の話でありながら、関西のイントネーションでしゃべったり、オチのある話を裁判の尋問の最中に行ったり、少々演出過剰を感じたが、そこを唯一の息抜きにしているのかもしれない。

 静かな音楽の使い方もさりげなく、日本映画の新しい才能が育ちつつあるのを感じる。

 真木よう子は、若い監督によく使われている。が、私のみたところ決して演技がうまいとは言えないと思う。ただ、おっぱいが大きいのが印象深い。可愛いといえばこの西川美和監督のほうが可愛い。事実、真木よう子がオーディションの時、監督が部屋にやってきてライバル出現と睨んだと語っていた。

 ただ、題名の「ゆれる」は、余りに女性を意識しすぎて好きになれない。「動揺」とかにして欲しい。動詞の題名で面白い作品は、命令形にするべき。「明日に向かって撃て!」のようにね。