大阪ハムレット

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初公開年月 2009年1月17日
鑑賞メディア;CS

監督:光石富士朗2点
原作:森下裕美大阪ハムレット』(双葉社漫画アクション』連載)
脚本:伊藤秀裕、江良至2点
撮影:猪本雅三3点
美術:大庭勇人3点
編集:菊池純一3点
音楽:遠藤浩二2点
音響効果:渋谷圭介2点
主題歌:倉木麻衣『会いたくて...』2点
照明:松隈信一3点
録音:福田伸3点

出演:松坂慶子(久保房子)3点、岸部一徳(久保孝則)4点、森田直幸(久保行雄)2点、久野雅弘(久保政司)3点、大塚智哉(久保宏基)2点、加藤夏希(明石由加)2点、白川和子(ヤエ )2点、本上まなみ(亜紀)2点、間寛平(久保ヒサノリ)2点

 時代設定が現代なのか平成のはじめごろなのか混乱を誘う。携帯電話でメールをしているかと思うと青電話で会話をしていたり、買い物はスーパーでなく商店街だったり小学生や中学生がいるのに家庭にはテレビゲームが無いし何か変。

 確かに現代の大阪の下町の感じは出ているし南海電車も出てくるし、関西出身でない役者も大阪弁を結構うまくしゃべっているのだが、いまひとつインパクトに欠ける。

 話は面白い。三人の男兄弟がもしかすると全部異父兄弟で新たに母親が妊娠してその父親も定かではない。しかも父親が急死し、おじが同居を始め母親はそれを受け入れている。また、母親の妹は末期がんで死のうとしている。
 一番下の弟は自分が女になりたいと本気で考え、一番上の中3は年齢を詐称して教育実習の学生と付き合っている。
 主人公的役割の次男は、けんかばかりしているヤンキーのくせにシェークスピアの「ハムレット」にはまり、読めない漢字を必死で調べながら読書をしている。

 話はこんなに豊かなのに映画の演出がうまくないのでそれらが噛み合って来ずエピソードがそれぞれ独立して面白くない。つまり、何かのイベントに収斂していく脚本が必要なのだろう。

 そのイベントが三男の学芸会なのだろうが、そこが一番面白くない。もう少し何か演出を考えるべきだと思う。

 テーマが面白すぎて監督自身がよくそれを咀嚼していないのだろう。「成すべきか成さざるべきか。」「生きるべきか死ぬべきか。」というテーマは、男なのか女なのか。生と死。老いと若さ。家族と血族。生みの親か育ての親か。先天性か後天性か。等、物語の中に多く出ている。
 それは大阪なのか東京なのかというテーマも含めて映画にするべきかマンガで鑑賞するべきかという問題にまで波及していく。監督には荷が重かったのね。