丹下左膳 百万両の壺

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初公開年月 2004年7月17日
鑑賞メディア;DVD

監督:津田豊滋4点
プロデューサー:江戸木純、川崎のり子3点
原作:林不忘
脚本:江戸木純2点
オリジナル脚本:三村伸太郎5点
撮影:津田豊滋4点
編集:津田豊滋3点
音楽:大谷幸5点

出演:豊川悦司(丹下左膳)4点、和久井映見(お藤)4点、野村宏伸(源三郎)3点、麻生久美子(萩乃)3点、金田明夫(柳生対馬守)3点、武井証(ちょび安)4点、かつみ・さゆり(茂三・ハチ)2点、豊原功補(用心棒)2点、渡辺篤史(音吉)4点

 面白い作品だ。有名な山中貞雄の作品をうまくリメイクしている。
 派手な着物の柄の飛び抜けたセンス。江戸の下町や矢場の雰囲気やレイアウトはオリジナルそのままに美しい色合いでまとめている。

 コメディでありながらチャンバラの基本を忠実に再現している。台詞回しも同じにして人情味豊かな丹下左膳を演じる豊川悦司はうまい。少々おおげさなコメディ演技とシリアスな居合いの緩急もいい。
 オリジナルのやさぐれたいい雰囲気のお藤は和久井映見には無理だが、和久井なりのお藤が出来ていて楽しい。印象に残る「あの子泣いたん?」という台詞は「あの子泣いたの?」に変更してあったことがそれを物語っている。前記の台詞回しはオリジナルでしか出せない味がある。

 また、オリジナルでも音楽を5点にしたが、今回もとてもいい。江戸の町の風情を環境音楽のような不思議な音で表現されている。大きなホールかホテルのロビーに流れているようなおかしな音だ。全く邪魔にならず観客も気づかないような音量で流れている。これが、いい効果を呼んでいる。

 くず屋を回収屋に変えてあったが、オリジナルに比較してかつみ・さゆりの二人はいただけない。江戸の長屋で大阪弁は駄目。しかもギャグが全て不発。

 源三郎ののんきな雰囲気はオリジナルの演技がうますぎて比較にならない。今回は現代的なアレンジがむしろつまらなくしている。たとえば壺の秘密を聞き出すシーンで生け花を家老の顔に当てるだけで真実を言うはずがない。そういう演出にゆるさを感じる。

 オリジナルと変更した場面はすべってしまっている。唯一、浮気の現場を見つかる神社のシーンが面白いかも。

 ちょび安に祖父が殺されたことを左膳が伝えるシーンもオリジナルの簡潔にして情感豊かなシーンには勝てない。
 
 オリジナルではカットされてしまったらしい最後の殺陣のシーンはこの映画の見所の一つ。往年のチャンバラ映画とは異なった少しリアルで少し荒唐無稽な現代的な一騎打ちに仕上がっていると思う。映画の冒頭で隻眼隻腕になるシーンも舞台劇のように美しい。

 ただ、最後のオチはオリジナルではないシーンで、この終わり方には異論が出そうだ。

 偉大な山中版の丹下左膳には及ぶべくも無いが、それを現代に美しく蘇らせている力量は評価に値する。